ALL #38

ALL #37 - 日記


地固め療法3回目が始まった。気がつくともう6月。外は雨模様のことが多いように思ったが、僕にはあまり関係ない。


今回の治療はスケジュール通りなら42日間かかることになる。治療が終わってすぐまた外泊できるわけではないから、次はいつ外泊できるのだろうと考えるとゾッとする。


吐き気止めをしてからドキソルビシンという薬を1時間。発病当初投与されて嘔吐したダウノマイシンを思い出す赤い液体がとても嫌な感じだけど、なんとか耐えた。並行してオンコビンとデカドロンも投与した。


午後からは髄液注射の予定だったけど、先生の都合などでなかなか始まらなかった。病室には以前ここに入院していた人が来ていて、部屋の患者と話していた。僕は少ししか一緒にいなかったので話はしなかったけど、長い入院生活を経た退院後の生活について「退院すると暇ですな。」と言っていたのが印象的だった。もしかしてこの入院生活を退屈だと思っていなかったのだろうか。定年退職者の生活とはそんなものなのか…。


それと、ベッドが1つ空いているのでまた新しい患者が入って来た。と言っても今回入って来た人は良性の大腸ポリープを取るために3日だけ入院する人で、この病室にいる他の患者とは深刻さがまったく違った。日々少しずついろんなことがある。


そうこうしているうちに髄液注射の準備が整った。メソトレキセートとデカドロン、キロサイドを投与する。毎回嫌だけど、少しの我慢だと思って臨んだが、背中から針を入れたときに右足に強い電気のようなものが走ってすごくビックリした。いつも「しびれるような感じがあるかもしれませんよ」と言われて針を刺されるのだけど、こんな感覚は初めてだった。僕の体の中で何が起こっているのだろう。針の刺さり所が悪かったのだろうか…。終了後は1時間の安静が必要なのだが、腰の辺りがずっと重い感じがして苦しく、更に安静が解けた後座ってたら急に右足がしびれてきたりした。なんとか夜には治まったけど、やっぱり髄注ってすごく嫌だ。


そしてこの日は今後の治療について医師と話をする機会があった。地固め療法を予定通り5回目までやるが、その後は移植をせずに維持療法に入る方向だという話だった。僕は入院した当初から「骨髄移植を視野に入れて治療する」と言われていたのだけど、その後の経過がとてもよく、化学療法も奏功しているのでリスクを冒すべきではないという話だった。移植は確かに様々なリスクがあり、治療もつらいし合併症が怖すぎる。方針転換はとてもうれしい。維持療法というのは外来での化学療法であり、当然入院での化学療法に比べて低い用量での治療になる。どちらにしてもあと今回を含めて3回の地固め療法に耐えて問題がなければ退院できる。


とりあえず今回の地固め療法3回目は断続的に治療が続くので心休まるときがない感じだけど、その向こうに退院という光が見えたので、なんでもいいから早く時間が過ぎて欲しいと思った。