ALL #34

ALL #33 - 日記


今回のメソトレキセートを使った地固め療法2回目は、骨髄抑制による白血球の減少が比較的小さかった。いつもなら白血球数が普段の1/10以下になって、毎日グランを注射しなければならないのに。白血球が減ること自体で何か症状があるかというと特にないのだけれど、やはり感染の危険が少なくなるので気持ち的には嬉しい。僕は相変わらず面会室など病室の外で過ごしていたから、白血球数がある程度あるんだと思うと安心ではある。人がいるところの方が感染の危険は高いから。


面会室などにいると、いつもその日の担当の看護師さんが様子を見に来てくれるけど、病室にいるときと違って、少し長話になったりとか、リラックスして話してくれるような気がした。他の患者さんや看護師さんもあまりいないし、休憩気分で話ができたのかもしれない。


他にも、掃除のおばさんの仕事に対する不満を聞いたり、看護学校から勉強に来ている学生さんを引き連れていつもと違う顔をしている看護師さんを目撃したり、面会室にいると面白いこともあった。しかしそんな風にして過ごすうち、不意にある思いが頭をよぎった。


今僕はここにいる必要があるのだろうか。


白血病の治療において何か月も入院が必要な理由は、白血球が減って感染の危険が増すことが大きい。特に僕の場合は病気自体の症状は出ていないし、この白血球減少という副作用のために入院していると言っていい。それが証拠に、治療終了後に白血球が回復すると次の治療の前に外泊が許可される。僕は主治医に聞いてみることにした。


「白血球がこれだけあれば、外泊できるんじゃないですか?」
「そうですね。いいですよ。」


あまりにあっさりしているので僕は気が抜けた。嬉しいけど、今までの退屈な時間は何だったんだ…。僕はとっとと外泊の準備をするとともに、主治医に言った。


「今後、外泊できる状況のときはとにかく外泊したいので、よろしくお願いします。」


この後から、僕の外泊は明らかに増えた。もちろん、治療のときや骨髄抑制があるときはちゃんと病院にいたけど、いけると思ったら外泊を訴えた。先生が「う〜ん」と迷う時もあったけど、迷うということは大丈夫だということだと先生を説得し、なるべく外泊に出た。僕はギリギリを攻めるのが好きなので、自分でも少し白血球数が低めだな〜と思ってヒヤヒヤしながら外泊したときもあった。


今回は、地固め療法2回目のスケジュールが、治療開始とその2週後に同じ治療を行うことになっていたので、その2週後の治療までの数日の外泊許可をもらった。外泊にも慣れてきて、家で適当に過ごしたり、買い物をしたりした。経口のロイケリンは必要な分持って帰り、家で飲んだ。