ALL #30

ALL #29 - 日記


今回は、次の治療までの曜日の都合などもあって6日間の外泊が認められた。


個室から大部屋に移ったことでいろんな変化があったけれど、収納スペースも少なくなった。なんともならず困っていたので、今回、置く場所がなくなった荷物などをある程度家に持って帰ることにした。廊下を歩いていると、掃除のおばさんから「退院ですか?」と声をかけられた。僕はやっぱり荷物が多い。


例のとおりマスクをし、帽子をかぶって外に出る。外はもう5月で、だいぶ暖かくなっていた。心なしか前回の外泊のときより足腰がしっかりしているような気がする。体力づくりの効果が出ているのかもしれない。


とりあえず外に出て最初の食事は、やっぱり寿司屋だった。外泊が近づくにつれ、僕の頭の中は魚でいっぱいになっていたから。


今回の外泊中も、何人かの人に声をかけて会ったりしたけど、前回ほどスケジュールを詰めたりはしなかった。外泊が長いということもあるし、みんな忙しいってこともあるし、外泊が2回目ってこともあるし。


一人のときは、家でテレビを見たりすることもあったし、掃除など家事をすることもあった。入院したことで、呼ばれていた披露宴に行けなくなったりもしたので、代わりのお祝いを用意したり、検査代の振込みや、治療費の支払いなんかもした。1回目の外泊は遊んでばかりだったけど、だんだんそういった用事なんかもするようになる。でもそういうことが自分でできるというのは気持ちがいい。


前回と同様、点滴の管が詰まるといけないので、外泊期間中2度ほど病院に戻り、詰まらないよう処理をして、また家に戻った。


そしてあっという間に外泊も最終日になってしまった。僕は最後の食事を終えると、友達と別れ、病院に向かった。そして病院の近くの店で必要なものを買い込み、予定の20時に病室に帰った。


僕は大部屋の自分のベッドに戻り、カーテンを閉めた。他の人たちは食事を終え、寝るまでの時間をそれぞれに過ごしている。ほどなくして看護師さんが来てバイタルを測り、僕は再び点滴をつながれた。窓のない廊下側のベッド。この閉鎖的な空間で、次の外泊まで暮らさなければならない。


前回もそうだったけど、外泊から戻った夜は、自分のいるこの特殊な状況が現実でないような気がして妙な気持ちになる。


明日からまた治療が始まる。