ALL #29

ALL #28 - 日記


骨髄検査の日が来た。


発病したとき、寛解導入療法後に続いて3回目。今は地固め療法の1回目が終了したところで、今後も地固め療法の1つのクールが終了するごとに骨髄検査をする。1つのクールは約1ヶ月かかるので、骨髄検査も大体1ヶ月ごとにすることになる。


大部屋に来てからの骨髄検査は初めてだったけど、どこか別室に移るのではなく、そのまま大部屋で行うみたいだった。同部屋の人は、元気な人は一時的に外に出てもらって、寝ていたい人は部屋の中で寝たまま。あまり人に見られたいものではないけど、カーテン引くし、痛いけど泣き叫ぶほどのものでもないしまあいいかという感じだった。


昼食後しばらくすると、看護師や医師、臨床検査技師など、いつも骨髄検査をするときに来る人たちが揃った。処置をしてくれるのはいつもの若い女の先生。


いつものように念入りに消毒をした後、麻酔の注射をして、そこに太い針を突き刺す。しばしの辛抱である。そして骨髄の中に針が到達すると、必要なだけ骨髄液を抽出し、針を抜いて終了…のはずが、なんだかいつもと違う。なかなか針を抜いてくれない。それどころかまだ針を押してみたりしてる。


どうやらうまくいってないようだ。


僕はうつ伏せになっているので様子はわからないが、小声で聞こえる会話や雰囲気から、ちゃんと針が刺さってなくて骨髄液がとれていないらしいことがわかる。既にいつもより長い時間痛みに耐えている僕。


なんでもいいから早くしてくれ。


そうこうするうちに針が抜かれた。終わったのかと思っていると、今度は別のところに針が刺された。しかしとんでもないことに、そこには麻酔は効いていない。僕は、世の中の人間のほとんどの人が、その人生の中で感じることのない種類の痛みを味わった。腰を弾丸で打ち抜かれたらこんな感じかもしれない。


僕は突如とんでもない痛みを受けながら、必死に耐えた。叫びそうになったけど、僕の主治医の若い先生が、たくさんのスタッフの前で一人で処置をしている。僕がここで痛いと言ったら先生のメンツがない…。


しかしどちらにしてもやはりうまくいかない。僕はもう我慢の限界だ。すると先生は最後の手段に出た。器具を携帯電話に持ち替えると別の先生を呼んだのだ。


すぐに別の先生はやってきて、代わりに処置に入った。そして僕の主治医にコツを教えながら、いとも簡単に僕の骨髄液を採ってみせた。気がつくと、僕の手のひらには深く自分の爪の跡がついていた。


夜、検査の結果問題ないことが伝えられた。僕は未だに痛む腰のことを先生に言えなかった。まあでもこれでまた外泊ができる。