ALL #25

ALL #24 - 日記


副作用にも慣れてくると、よりいっそう食事のおいしくなさがつらくなる。それでも空腹だから頑張って食べるけど量も少ないので、食事が終わってもご飯を食べた満足感がない。ご飯を食べた後に感じるあの満腹感を1日に一度も感じないというのはものすごいストレスだということがわかった。


ご飯を大盛りにしてもらっても、なぜかおかずは大盛りにできないらしく、米だけあっても仕方ないので、鰹節に醤油をかけておかずにした。ご飯を食べ尽くしてもお腹が空いているときは、更にカップメンを食べることもあった。でも大概、体に悪い物を食べたような感覚がしてすぐに後悔した。


朝はパンとジャムだったけど、甘いものが食べられない僕はジャムなんて普段から食べないのでとても困った。フルーツを食べたいけどいつも出てくるわけではなかった。ケガをしないよう、ナイフを使って皮をむくことができなかったので、バナナをストックしておいて、毎日のように食べた。


食べ物というのはすべての基本であり、それをおろそかにしては元も子もない。病気を治すのは、良い環境の中で行うことを前提とすべきだし、どんなに素晴らしい治療やどんな特効薬があったとしても、おいしい食事を毎日食べることには適わないと思う。本当に患者のことを考える病院ならそこに重点を置くだろうし、きっとそういう病院は治療成績も優れ、患者からの評価も高いんだと思う。僕は心からそう思ったけど、訴えるところがなくてとても歯がゆかった。


そんな風にして地固め療法開始から10日が経った。


夕食を終え、寝る前の検温をすると、37.6℃。ここのところ体調は良かったのでびっくりした。油断してた。前日遠いところから友達が見舞いに来てくれて、短時間の面会しか認められていないのに2時間以上話しこんでしまったのが良くなかったのかどうかはわからないけど…。


抗生剤を投与することになり、そのための採血もした。検出される細菌によって使う抗生剤も変わる。熱を下げるためロキソニンも飲んだ。


次の日、細菌の検査の結果が出て「心臓の弁に悪さをすることがある菌が検出された」とのことだった。え…心臓…。すぐに検査をすることになった。体温は38.4℃。細菌の検査の精度を高めるため更に採血をし、ロキソニンを飲んで検査に向かう。心電図を測り、エコーで心臓を見て、レントゲンも撮った。


38℃台の熱が出る日が何日か続き、頭痛も併発したが幸い熱は下がり、大事には至らなかった。菌は常在菌で、免疫力が落ちているために通常より増えてしまったようだとのことだった。体が楽になるとすぐに油断してしまう悪い癖が出てしまった。自分が危険な状況にあることを再認識した。