凧上げ

今年の正月は凧上げをしたいと思っていました。でも正月に会う予定だった人が体調を崩したり、自分自身も若干体調を崩したこともあって、今年まだ誰とも会っていません。一人で凧上げもなんなので実現せずです。


昔から凧上げは好きでした。なぜか正月にしかしないのですが、妙に楽しいです。


あれは小学生の頃、僕は友達と凧上げをしていました。近くに廃寺があって、そこは何も建物が建ったりしないので原っぱになってました。適度な傾斜がある部分もあったりして、凧上げにはもってこいの場所でした。


その日はとても良い風が吹いていて、とても高く凧が上がりました。そのうち、僕のか友達のか忘れましたが、本当に高く高く凧が上がりました。今までに見たことのない高さだったので二人とも大興奮。更に糸を伸ばしていると糸が全部出てしまったので、片方の凧を降ろし、その糸を高い方の凧の糸にしっかり結んで、また糸を出しました。


本当に高く上がり、目を離すと凧がどこにあるのかわからないくらいにまで小さくなりました。自分が持ってる糸の先に本当に凧がついているのかわからなくて、空と繋がっているような気さえしました。凧がどのくらいの高さのところにあるのか、考えただけでもゾクッとするくらいです。糸を持つだけでも結構な力がかかります。


しかしなおも糸を出し続けると、継ぎ足した糸も全部出てしまいました。ここまで来たらもっと高く上げたくなります。もちろん、出した糸を全部巻き取らなければならないことなど考えていません。でももう糸はありません。どうしようかと困っていましたが、僕は家にまだ凧糸があることを思い出しました。


僕は急いで自転車をこいで家に戻り、凧糸を発見。僕はそれを持って、また急いで自転車をこいで原っぱに戻りました。


「おーい、あったぞー!」


叫びながら友達の方に走っていきました。が、友達の様子が変です。先ほどのような興奮した感じはなく、三角座りをして穏やかに空を眺めていました。僕は早く糸を継ぎ足そうとしましたが、落ち着いた口調で友達は言いました。


「手、離してもうた。」


そこには僕と友達と凧糸があり、いい風が吹いていました。当然、凧はもうどこへ行ったかわかりませんでした。


こんなに楽しい凧上げ。またやる機会があるといいなと思います。