競馬ブック

年末年始は実家に帰って親や家族と久しぶりに会う…なんて人も多いと思います。でも久しぶりに会って最初は良くても、すぐにその感動もさめてケンカをしてしまったりという経験はないでしょうか。


数年前、年末に実家に帰ったときのことです。1時間半ほど車を運転して実家に着き、落ち着いたところで、何か面白いものはないかと昔の自分の部屋に行きました。結構実家ってすることないんですよね。


で押入れを開けたりしていると、僕の大事な競馬ブックの配置が変わっていることに気付きました。


競馬ブックとは、週に1度、その週末に行われる競馬に合わせて発行される競馬専門誌。僕は最近ではもうほとんど馬券を買わなくなりましたが、海外競馬とか馬産に興味があるので今でも毎週買っています。1週間に1冊というのは恐ろしいもので、1ヶ月だと4冊、1年だと50冊、10年だと500冊。僕は当時10年分くらいの競馬ブック保有していました。


当然寮なんかには置くところがないので、実家に置いていたのですが、こういうものが500個もあると、時系列にきちんと並べてあることが重要です。何かを急に調べたくなったとき、検索できなければただの紙の山です。


ということで僕は母親のところに行って文句を言いました。すると、思いがけず母親が切れました。


母親の言は、人の家に何の役にも立たないゴミを大量に置きっぱなしにして、それの場所が変わったからってどうして文句を言われなければならないのかということ。確かに正論です。僕は人の家に自分のものを置かせてもらっているということを軽く思っていたようです。そして僕は、パンドラの箱を開けてしまったのです。


母親は今までに見たことのない切れ方をしました。僕はクレヨンしんちゃんの友達のネネちゃんの「いつものママじゃない…」状態になりました。


母親は2Fに置いてあった競馬ブックを次々と階段から下に投げ始めました。僕の大事にしている競馬ブックがあられの様に降ってきます。最初は怒っていた僕も、とりあえず母親の怒りを静めなければと思うようになりました。でも母親は延々投げ続けました。


500冊の競馬ブック


右から左に置き換えるだけでも重労働なのに、僕の母親は休みなく投げ続けました。通常、怒りというものは時間とともに薄らいでいくものかと思っていたのですが、一向に変わりません。これだけ長い時間怒りを継続させるということは僕にはできないと思います。僕は全部投げ終わるのを待ちつつ、少しでも後々楽なようにまとめて積み上げていきました。


どれくらいの時間が経ったでしょうか。とうとう競馬ブックが全部階段の下に投げ下ろされました。



すると母親は、それを自分の家に持って行けと言い始めました。今来たばかりなのに。でも母親の怒りは継続しています。僕は仕方なくホームセンターにダンボールとガムテープを買いに行きました。帰ってくるとき、怒りが収まってるといいなと淡い期待を抱いていましたが、見事に怒りは継続していました。僕はもうあきらめて、ダンボールに競馬ブックを詰め込み、車の荷台に運び、自分のマンションへ戻りました。


また1時間半くらいかけて移動の後搬送。僕の部屋は4Fなので、エレベーターを使って何度も往復して運び込みました。全部終えたときには腕が千切れそうになっていました。


ということで、年末年始のトラブルにはご注意を…。


最後に、後日家で整理した競馬ブックです。