走行中のバス

走ってる車から子供が落ちて死んだというニュースがありました。


僕らも子供の頃はあまり気にしていませんでしたが、乗り物の中では自分が止まっているように思えても、実はすごいスピードで動いてます。当然、外に出た瞬間、体感速度は例えば0km/hから80km/hになります。そりゃ死にます。昔ルパン三世で、走っている車が前を走っているトラックの荷台に飛び乗るシーンがあったのですが、あれはどうなのでしょう。飛び乗った瞬間にトラックの上で前に進んでしまう気がして悩んだ覚えがあります。


それはともかく、動いている乗り物は危ないのです。


僕は今の家に引っ越してからバスに乗ることが増えました。それまでほとんどバスには乗りませんでした。子供の頃バス酔いがひどかったのでなんとなく敬遠していたのもありますが、路線が多くて、バス停の場所もよくわからないし、乗り過ごしても電車のように戻れないなどのネックがあるからです。でも今の家は目の前にバス停があり、逆に電車の最寄り駅は1kmくらい離れているのでバスを使うようになりました。


電車でも似たようなことはありますが、バスに乗っていて特に目に付くのは、次が自分の降りるバス停になると、人はたいてい前に移動するということ。でも電車と違って、バスはカーブが多かったり、人や自転車、他の自動車も気にしなくてはいけないので急ブレーキもあります。路面も平らなところばかりではないので揺れます。なので壁には「手すりを持って下さい」とか、「走行中は席を立たないで下さい」という貼り紙がいたるところにあります。運転手もいちいち「バスをお降りになる際は、完全に停車するまでお待ち下さい」とアナウンスします。


でも僕の観察では、バスが完全に停車するまで席にじっと座ってる人というのは少ないです。かなり少ないです。運転手がアナウンスしてる最中でも移動するし、運転手が「危ないから座っといてね!」と注意しても「次やから」とおかまいなしです。どうしてなのでしょう。いくつか考えてみました。


1.早く降りたいから
2.(特に混んでるときなど)前に行っておかないと降りそびれるかもしれないから
3.停車した後、降りるまで時間がかかると乗ってる人に迷惑だから


思いついたのはこれくらいです。


1と2は電車にも共通してます。電車は乗り口と降り口が同じなので、2は電車の方が顕著かもしれませんね。僕は奥の方がすいてるからすぐ奥に行くのですが、いざ降りようとして、扉まで到達した頃には乗ってくる人の波が押し寄せるなんてことはよくありますから。バスは降りるまで運転手が待ってくれますが、たまに全員降りたと思って出発されてしまうことはあります。


1に関しては、バスではないですが、電車で別の問題があります。「早く降りたい」という方はともかく、「早く乗りたい」という方です。思い出してみて下さい。電車では降りる人が全部降りてから乗るというのがマナーで、たいていどこでも守られてるように思えますが、降りるときに、乗る人が両サイドに列を作って待っていてそれが花道のようになり、降りる人が1列になってしか降りられないという状態になってませんか。僕はたまに腹が立って、花道を無視して2列になって進み、乗る人とぶつかります。僕は警告を発してるつもりなのですが、たぶんぶつかられた人は、ちゃんと通るとこ通れよと思ってるんでしょうね。ちなみに降りる人が減ってくると、降り切ってなくても乗ってきます。1列分空けとけばいいと思ってるんでしょうかね?明らかに乗り降り遅れるのに。


3はバスだけの話です。


でもどんな理由があれ、走っているバスで移動してはいけないと思います。僕は人が転ぶのを見たことがあるし、特にお年よりは本当に危ないです。自分の筋力では自分を支えられない事態が起こるんですから。


1の早く降りたいからは論外です。バスに身をゆだねているときは自分の欲を優先させてはいけません。2は確かに僕も運転手に気付かれなかったことはありますが、最近の運転手はその辺をかなり気をつけてるように思います。3については、親切心の逆効果。人の良さそうな白髪のご婦人なんかはたいてい3をやります。でもそのためにケガをしたら、自分のことは自業自得としても、とても迷惑です。運転手の注意を無視した挙句ケガをしたとしても、運転手はなんらかの処分を免れないだろうし、ことの大きさによってはバス会社自体にも影響を及ぼします。他の乗客も足止めを喰らいます。3はある意味、自分が迷惑をかけているというプレッシャーから早く解放されたいという欲だと思います。


ということで、人に何かをしてもらおうとするときには、欲は二の次にして人の言うことを聞けということ。嫌なら止めとくしかないですね。