布団を干す

乾かすというのはとても楽しいです。時間がかかるだけに達成感もあります。魚だって干物にすれば長持ちするし味も変わります。


ということで、今日は布団を干しました。


うちのベランダは布団を何枚も干せるほど広くないので、布団を干すときはいつもマンション共用のスペースを使います。そこそこ広い場所なのですが、数人分の布団を干せる程度なので、他の住人に干されてしまっては場所がなくなってしまうのですが、そういう経験はありません。一体他のみなさんは布団をどうしてるんでしょうかね。


ということで他の人が干す心配もせず、いつものように布団を干しに行きました。毛布とかいろいろ干そうと思ったので何回かに分けて運びます。で、これで最後だと思って布団を抱え、玄関のドアを開けると同じ階の人が布団を持って歩いていったのが見えました。珍しく競合してしまったようです。


僕がそのまま干しに行くと、その人はちょうど干し終えて手ぶらで帰ってくるところでした。その人はすごく近くに住んでいながら誰だかわかりませんでしたが、干すスペースが限られているので聞いてみました。


「もっと干されますか?」


もしその人がまだまだ布団を持ってくるのだったら少しは遠慮しないといけません。するとその人は言いました。


「大丈夫ですよ。」


僕は安心して自分の干す予定の布団を全部物干し竿にかけて固定し、部屋に戻りました。


ところで布団はとても分厚いです。干すと言っても数時間は干さなければ意味がありません。なので通常はだいぶ時間が経ってから取り込みに行くわけですが、このマンションの場合は油断ができません。というのは、風が強い日にはよく物干し台が倒れるのです。対策を考えたのですが未だ有効な対策は見出せていません。なので布団を干しているときはチラチラと窓から様子を確認しなければなりません。外出の予定があるときは布団を干せないのです。


そんな状況の中、ある時物干し台が倒れているのを確認してしまいました。外は結構な風です。でも僕の布団ではありません。さっきの人の布団です。


元の状態に戻した方がいいのはわかるのですが、それは僕の布団ではありません。そのスペースはマンションの敷地内なのですぐ行けますが、そこに行くためにはそれなりの格好に着替えたりしないといけません。特に今の季節は寒いですし、結構億劫なのですが、その布団の持ち主がどんな人だか知ってしまったがために、放っておくことができなくなりました。感じのいい人だったし、それに布団を干したいという気持ちを持ってるということが共感を呼びます。


ということで、僕はそれなりの格好に着替え、救出に向かいました。


僕は倒れた物干し台を立て、布団を元に戻しました。ついでに自分の布団を裏返して部屋に戻りました。


そしてまた部屋でテレビを見ていると、物干し竿が落下する音が聞こえました。窓に駆け寄って見てみると、今度は僕の布団の物干し台が倒れていました。僕はすぐに飛んで行って対処しました。と同時に、さっきの人のシーツか何かが飛ばされているのを発見してしまいました。僕はそれにも対処しました。


ここで僕は考えたのですが、その人は布団の固定の仕方からしてあまりこのスペースで布団を干した経験がないのではないかと想像しました。また、同じ階で、部屋からそのスペースが見えるのは角度的に僕の部屋だけです。その人は布団がどういう状態か部屋から確認することはできないと思われます。本当なら、当番でもないんだからそういうのは自己責任なはずですが、なまじ本人を知っているだけにそうもいきませんでした。


その後僕はその人より早めに布団を取り込みました。普段ならその時点で布団のことなど考える必要はなくなるのですが、今日は違いました。どうしても布団が気になります。僕は、早く取り込んでくれないかな〜と思いましたが、取り込んでくれるまでしばらく時間があり、気をもみました。


でもいいんです。たぶん僕が布団を直したことはわからないと思いますが、その人が今日ふかふかの布団で気持ちよく寝ているのならそれで満足です。今日会ったのも何かの縁。僕からのクリスマスプレゼントさ。


ん?今日はクリスマスイブか。彼氏といちゃつくために使ってたらやだな…。