切ない恋の物語

ただ、君を愛してる」の公式HPがまだ生きてて、内容も充実してたので見てました。中に、読者の初恋エピソードが載ってるところがありました。そこの初恋の平均年齢は10.7歳。僕は幼稚園のときなのでだいぶ早いことになりますが、お陰で相手がどんな性格だったかさえ覚えてません。でも僕は代わりにある別の女の子のことを思い出しました。


新学期、新しいクラスにその子はいました。


僕はそのときまで同じ中学校にいながら、その子のことをほとんど意識したことはありませんでした。でも同じクラスになったときに思い出しました。小学生の頃、隣の小学校の少年団と卓球の試合をしたときに僕が審判をしていた試合に出ていた子でした。かわいいな〜と思ったことを思い出しました。そして久しぶりに見たその子を見てまた、かわいいな〜と思ってしまいました。その子も僕に対して悪い印象はないようでした。


少しずつクラスにも慣れ、その子とも話すようになりました。だんだん話す機会は増え、話してるととてもドキドキしました。


通っていた塾も同じでした。クラスが違うから一緒に授業を受けることはできず、終わる時間も違うからいつも会えるわけじゃなかったけど、いつの頃からか授業が終わっても帰らずに待ってて、話しかけてくれるようになりました。その子は僕と話してるとき、とても楽しそうに見えました。


そんなある時、学校で席替えがあり、なんとその子は僕の隣になりました!僕はとても嬉しかったのですが、問題がありました。少しずつ噂が立ち始めていたのです。僕はその手のものが非常に苦手です。


僕の暮らしていた地域というのはなぜか小学校の頃から男女別れて遊ぶことが多く、それが普通かと思ってました。転校生に指摘されて普通じゃないことがわかりましたが、その中でも僕は特に男子とばかり接してて、女の子とうまくしゃべれませんでした。いつだったか女の子に、「話してても目が合わへん」と言われたことがありました。当然です。僕は女の子と話すときは後ろの壁を見て話してましたから。その指摘を受けて、女の子の目を見て話していいんだと気づいたくらいです。


でもその子はそんなことお構いなしに今まで以上に話しかけてくれました。僕は心の中で葛藤していました。


そしてあれは忘れもしない国語の時間。


給食の後、午後の暖かい日差しに包まれ、授業はとても静かに進んでいました。寝てる人もいましたが、国語の先生はあまり注意をしたりする先生ではありませんでした。その子はそのときもいろんな話をしてくれました。僕はいつも葛藤しながらも結局楽しく話をしていました。でもそのときは違いました。


教室の中で、話をしているのが僕ら二人だけだったからです。


僕らの会話はみんなに聞こえました。僕はこれから授業が終わるまで、満員の静まり返ったエレベーターの中でその子と話し続けるような錯覚に陥りました。僕は何度か会話をうまく終わらせましたが、すぐに次の話が始まりました。そして僕の我慢はとうとう限界に来てしまいました。


僕は1回だけ、楽しそうに話しかけてきたその子のことを無視してしまったのです。


その瞬間、すべてが終わりました。それからは、話しかけても会話は長続きせず、僕とはあまり話してくれなくなりました。その子の顔にあの楽しそうな表情が戻ることは二度とありませんでした。


ということで切ない恋の物語終了です。当時は後悔したものですが、たぶん100回やり直しても同じだと思います。せめて無視なんかせずにもう少し人の気持ちを考えることができなかったかと思いますが、それも当時の僕には無理でした。


ただ、今でもやっぱり自分が女の子と仲良くしてるのを見られるのは苦手ですね…。あの頃みたいに無視はしないけど、中学生のときから全然変わりません…。