閉じ込み

恐れていたことが現実になりました。


以前からうちのお風呂のドアの立て付けが悪いことは気にしていました。引っ越してしばらくした頃、お風呂に入ろうとしたらタイルが割れて落ちていたことがありました。管理人に言うと、業者に治させるからということで、後日来てもらったのですが、その業者によると、お風呂の壁がなぜか少し膨らんでいるというのです。そんなこと気にしたことはなかったのですが、見ると確かに平らでなくて少し膨らんでました。そのせいでタイルは割れたというのです。


さらにそれだけでなく、「お風呂のドアも開けにくいでしょう?」とも言われました。そう言えば!こういうもんだと思って使っていましたが、確かに開けにくいです。そのとき初めて気づきました。


「とりあえずこれでいけると思うけど、またドア開きにくくなるかもしれんね〜。」


そう言って業者は帰っていきました。その日から、僕はいつかお風呂のドアが開かなくなる時がくるんじゃないかと思って恐れていました。それは一体いつなのだろうか。開かなくなったとき、季節は夏だろうか冬だろうか。冬だったら寒いだろうな。大声を出しても誰も気づかないだろうな。お湯を出し続けて助けが来るのを待つのかな。何日くらいで助けが来るかな。水は飲めるからしばらくは大丈夫かな…。


誰にも言ってませんでしたが、僕はそんなロシアンルーレットを抱えて毎日生きていました。ちなみにロシアンルーレットを一人でやると、必ず自分に当たります。


そしてスコットランドアバディーン、日本よりはるかに寒いその場所で、それは起こりました。ボーリング場で働く55歳のレガットさんはいつものように職場のトイレに入りましたが、取っ手が取れてドアが開かなくなりました。真冬のスコットランド、一人暮らしのレガットさんがいなくなったことに気づく人はなく、結局4日間そこで過ごした後、清掃係の人が気づいて救助されたそうです。ちなみに彼はサバイバル術のコースを履修したことがあると語っていたとか。


まあ救助されて良かったですが…人ごととは思えません。僕の場合はお風呂なので、裸で過ごさなければなりません。今までにそういう感じのことで死んだ人とか聞いたことがないので、1ヶ月後とかに遺体で発見されたらかなり恥ずかしいです。


あ、でも一つだけこういうの聞いたことがあります。ある場所で子供の白骨化した遺体が発見されました。かなり古いもので、当初誰なのか全然わからなかったそうです。しかし調べは進み、そこが小学校跡地であることがわかると、過去を思い出したという老人が現れました。小学校のとき、かくれんぼをしていてそのまま見つからなかった友達がいたというのです。


う〜ん、怖すぎます。何か対策を講じねば…。