スズメバチ
この前、テレビでスズメバチを食べて生活するという番組がやってました。番組ではスズメバチの巣を探し、わーきゃーわめきながらも防護服を着て巣を捕って食べてました。結局スズメバチには刺されなかったんですが、これを見てて思い出しました。僕がスズメバチに刺されたときのことを。
それは小学校のとき。僕は外で遊ぶのが大好きで、特に長い時間のとれる昼休みはほとんどグランドにいました。グランドの大きさは限られているので陣地争いが熾烈なのですが、僕はいつも給食を急いで食べてダッシュでグランドに向かってました。
その日もいつものように陣地を確保し、クラスのみんなとドッジボールをしていました。するとその最中に、僕らの遊んでいる陣地に一匹のハチが飛んできました。その大きさから、ミツバチやアシナガバチではなく、スズメバチであることはすぐにわかりました。
「スズメバチや!」
騒ぐ者あり、逃げ惑う者ありで、ドッジボールは中断を余儀なくされました。そしてスズメバチはターゲットを見つけました。スズメバチが向かったのはともき君(仮称)でした。ともき君はクラスのリーダー的存在。体も大きく、いざというとき頼りになるやつでした。しかし相手はスズメバチ。いくらともきくんでも…と思って目を覆ったその時でした。
なんとともき君のもとへ向かったスズメバチは、ともき君の体にとまりはしたものの、とことこと歩き、再び飛び立ったのです!
「おおーっ。」
歓声が上がりました。そしてともき君は言いました。
「ハチはじっとしてたら刺さへんのや。」
身を持ってそれを示したともき君に尊敬の眼差しが向けられ、ともき君はさすがだなという空気が漂いました。そんな雰囲気の中、既にスズメバチは次のターゲットを見つけていました。なんと僕の方に向かってくるではありませんか!
でも大丈夫。ハチはじっとしてたら刺さないんだから。
来るな来るなと思っていましたが、スズメバチは僕の足に止まりました。みんなの注目が僕に集まります。僕もここで株を上げなければ。僕は動揺を見せることなく、動きを止めました。するとともき君のときと同じ様に、スズメバチは僕の足をとことこと歩き始めました。一先ず安心。後は飛び立ってくれるのを待つだけです。しかし今度はなかなか飛び立ってくれません。どんどん僕の足を昇ってきます。
でも大丈夫。ハチはじっとしてたら刺さないんだから。
そう信じてましたが、思わぬ事態が起きました。当時僕はピチピチの半ズボンをはいていました。ハチは僕の足を昇り、そのままズボンの中に入ろうとしていました。
僕は短い時間で悩みました。じっとしてたら刺さないとは言え、本丸に入られてもしものことがあったら…ここは門前で刺客をやっつけねば!僕はスズメバチを手で振り払いました。がその瞬間、足の付け根に痛みが走りました。
休み時間が終わる頃には痛みはかなり増していたので先生に言って薬を塗ってもらいました。それが効いたのかわかりませんが、その後痛みは引きました。今から思うとあれはキイロスズメバチ。刺されても致命傷にはならない種なので良かったですけどね。