年配の男の人

入院してると他の患者さんと触れ合うことになるのは当然です。個室じゃないなら特に。でも病気になる人ってのは基本的に若い人より年がいった人の方が多いから、やっぱり触れ合うのもおじいさんやおじさんが多いです。僕は男部屋だからそうですが、女の人ならおばあさんかおばさんでしょうね。


で、そういう年配の男の人と接していて思うことがありました。それは、


女より男の方が偉いと思っている。


ということです。最近団塊の世代が定年を迎えつつあることでいろんな問題が指摘されていますが、テレビでそういった人たちに関する特集がやっていました。奥さんは大方夫の定年を嫌がってました。夫が仕事に行っている間の自分の時間が侵されるからです。妻が夫に内緒でどんなことをしているのかはここでは置いといて、夫がいると夫の世話をしなければならないというのも基本にあるようでした。


三度のご飯から新聞取りに行くのまで全部妻の仕事。夫が働いて妻が専業主婦という役割分担で二人が納得しているのなら、夫が残業しても帰宅すれば妻の作ったごはんがすぐに食べられるとかいうのは合理的だからいいと思いますが、定年してしまえば話は変わります。妻も夫も一日家にいるのに妻だけが働く。これは普通おかしいです。


でも夫側にアンケート調査のようなものをやると、今までそうやってたからという意見だけでなく、とんでもない意見が出てきました。男は威厳を保たなければいけないからとか、男がやることじゃないからとか。今の若者はどう考えているかわかりませんが、この時代の男の人たちは堅くそう信じてる人が多いようです。言ってもたぶんわかってもらえません。


僕が入院してるときに見たのは例えばこんなことです。


入院している夫が妻に対して怒っています。どうやら買ってきてくれと妻に頼んだ物が気に入らないようです。


夫「こういうやつじゃなくて、ここがこうなってるやつがあるやろ!」
妻「それならそう言ってよ。」
夫「見たらわかるやろうが!」
妻「人の好みなんてなかなかわからへんのよ。」
夫「とにかく、違うやつ買って来い。」
妻「じゃあどういうやつか詳しく言って。」
夫「そんな細かいことわからへんから、適当に買って来い!」


とこんな調子。とても偉そうな上、言ってることがむちゃくちゃです。なんか妻が召使いみたいでした。


逆にとても静かな夫婦もいました。確か妻が見舞いに来たはずなのに新聞をめくる音だけがしてます。トイレに行くついでに見えたのですが、夫が新聞を読んでいる横で妻がそれをただじっと見ていました。


僕はなぜその妻が毎日毎日病院に来るのかよくわかりませんでした。いつも黙って夫の横にいます。妻の時間というものが無視されている気が。夫なら、もっと見舞いの時間を短くしていいよって言うとか、毎日来なくても大丈夫だよとか言うべきなのではないだろうかと思いました。二人で仲良くしゃべったりしてるならそうは思いませんが、ずっと横にいるだけなんですもん。


ま、いろいろ文句はありますが、僕も歳いったら若い人にいろいろ言われるんでしょうかね。