気胸

わかってたんです、2週間前から。つばを飲み込もうとして咳き込んだ後に「あ」と思いました。左肺気胸です。


次の日に定期の外来で病院に行かなければならないので参ったな〜と思いました。なぜかというと、既に何度も気胸にはなっていて、初めて気胸になったときは入院しましたが、その後は我慢して入院せずに治してたからです。気胸であることがばれると入院は免れません。軽い気胸ならともかく、感じ的にそうではないとわかってたので…。


初めて気胸になったのは5年前。あるときなんだか背中が重苦しい感じになり、しばらく耐えてました。2週間程経って少しましになったと思ったとき、鍛え方が足りないんだと思って走りこみをしたら、またおかしくなって、病院に行きました。


長い待ち時間の後の診察で症状を伝え、レントゲンを撮ることになりました。レントゲンを撮って少しすると、看護婦さんがやってきました。


気胸って知ってる?」


「キキョウ?」


僕は花の名前だと思いましたが、この場面でお花の話が出てくるとは思えず、空気を読んだ僕は「知らない」と答えました。看護婦さんは診察室に僕を連れ戻しました。たくさんの患者さんが診察を待っていましたが、僕はそれを全部抜かして再び診察室に入りました。空気を読んだ僕は思いました。


肺癌だ。


僕は医師の前に座りました。僕のレントゲン写真が貼ってあり、医師が説明を始めようとしていました。僕は、癌の告知ってこういう風に始まるんだと思い、覚悟を決めました。


医師は僕の肺がどうなってるか説明を始めました。肺が破れて穴が開き、そこから漏れた空気が肺を圧迫していると。そしてそれは気胸というもので、若い痩せ型の男性に多いのだということでした。


肺癌じゃないっぽい。


治療には、とりあえず管を突き刺して、肺の外にある空気を抜く必要があるとのこと。当然入院が必要で1〜2週間はかかるということでした。僕はなんとか入院だけは勘弁してくれと頼みました。さっき癌の告知を受ける覚悟をしたとは思えない往生際の悪さです。


でも一時帰宅さえ許されず、結局10日程入院しました。肺はちゃんと元に戻ったのですが、また肺が破れる可能性があるので、穴の開きそうなところを塞いでしまう内視鏡手術を勧められました。でもCTの結果から、はっきりとこれだとわかるような大きな穴があるわけではないことや、そもそも手術が嫌だということから、とりあえず様子を見るということにしました。


そしてその後も気胸は起こりました。左右問わず、気胸が起こらない年はたぶんなかったと思います。だけど、いつも放っておくと自然に空気が体に吸収されて治ってしまうので、入院を勧められても断ったり、治るまで病院に行かなかったりでいつもしのいでました。


もちろん管を入れるのと比べて治るスピードは遅いので、ゆっくりしか歩けなくて早く家を出たり、体を動かすのさえ苦しいこともありましたが、とにかく耐えてました。とても危険なことなんですけど。だから今回もそうしようと思いました。


気胸になったと思った次の日の外来はしのいだのですが、2週間後には咳も出だして、外来でレントゲン撮ってみようかと言われて万事休す。一時帰宅もできずに、今回は2週間の入院となりました。


もうせっかくなので、今回は以前からいつかやらなくてはいけないと思っていた手術もやることにしました。近く再入院して手術やる予定です。