ALL #04

もうとっくに日は暮れていたけど、家では電気をつけることも忘れて苦しんだ。何の手立てもなかった。痛くて痛くて痛くて痛くて仕方がなかった。後になって、あの時は痛かったな〜と言える時間が来ることを思って頑張った。


でもやはり耐えられなくなった。何時かはわからないけど、近くの総合病院に電話してみた。診てくれるとのこと。そしてすぐに病院に向かった。


夜勤の先生に症状を説明する。もうこれで何度目だろう。血液検査とレントゲン撮影を行い、結果を待って再度診察室に入った。先生は胃以外に、肝臓・膵臓・腎臓・脾臓のことも疑ってくれたが、血液検査を見る限り異常はないということだった。昔友達が「膵炎にかかった時、溝落ちが半端じゃなく痛かった」と言ってたのを覚えてたけど。結局クリニックでうたれたのと同じ注射をうたれた。これより強い鎮痛剤もあるけど、朦朧としてくるから入院しないとできないのでとのことだったが、いっそのこと入院したかった。そして真っ暗な中帰宅し、少しでも痛みがやわらいでるうちに寝てしまおうと思ってベッドにもぐりこんだ。


それからほとんど時間は経ってないと思う。一応ほんの少しだけ寝たようだが、気がつくとやはり激しい痛みに襲われていた。水を飲んでみたり、筋注したばかりなのにそれの錠剤を飲んでみたりしたが、何の効果もなかった。そしてまだ暗い明け方、再度総合病院に電話した。


「今、外科の先生しかいませんけど…」と言われるが、とにかくあの注射をうってくれと頼んだ。今はそれだけが頼りだった。すると、「なんとかなると思います」ということだったので、また病院へ向かう。外は冷たい雨だったけど、そんなことはどうでもよかった。


警備の人もすぐに通してくれて、外科の先生に注射をうってもらった。看護師さんには、「8:30から初診の受付やってるからちゃんと診てもらったほうがいいですよ」と言われた。久しぶりにかけてもらった優しい言葉が少しだけ僕を楽にした。帰りは更に雨脚が強くなっていた。僕が傘もささずに帰ろうとしたら警備の人がビニール袋は要るかと言ったが近いからと断って家に帰った。傘をさす力はなかった。


これで何とか朝まで…と思ったが、今度の筋注は全然効かなかった。もうこの継続した激痛に何時間耐えているのだろうか。


5時頃。今度はまた総合病院に電話して内科の先生のいそうな病院を聞き、そこに電話してみた。しかしいずれも「応急処置しかできませんけど…」と言われ、今までのことを思い出して、朝を待つことにした。ある程度の大きさの総合病院は、夜でもそれなりの治療を受けられるのかと思っていたけど、そんなことはなかった。


ここから3時間、どうすることもできない時間を過ごした。ひたすら病院が開くのを待った。時計はいつも1分しか進んでいなかった。