ソンソン

Wiiで昔懐かしのゲームが楽しめるそうですね。HP見てたらファミコンとかやりたくなって、近くのゲームショップに行ってみました。


ファミコンの発売以降、たくさんのゲーム機が発売されました。今はWiiとかプレステなんでしょうか、僕は正直ついていけてません…。あんまりゲームもしないですしね。だから店に入っても初期ファミコンのコーナーがあるのかさえわからないくらい最新のゲームに圧倒されました。


僕は最新のゲームなんて買う気はなかったのであきらめかけてたのですが…ありました!店の一番奥まったところにファミコンコーナーが!


小さい店なのですが、ファミコンとかPCエンジンとか昔のゲーム機の占める割合は実はかなり高いことに気づきました。いくつかの人気のゲームはちゃんと包装して値段がつけられていましたが、多くはプラスチックのカゴに無造作に放り込まれていて、そんなカゴがいくつもありました。特にドラクエシリーズはたくさんあって、ドラクエ風呂とかも夢じゃないくらいの量のソフトがありました。


僕はちびっ子たちが最新のゲームに群がる中、一人ファミコンのカゴをあさっていました。もう大人になってしまった人たちの思い出を探るように…。


そんなときに僕の手を止めてしまったソフトがありました。そのソフトとは…


「ソンソン」


それは僕がまだファミコンを手に入れたばかりの頃。当時ファミコンが出始めで、友達は次々ファミコンを買ってもらっている中、ようやく遅れ気味に手に入れたばかりの頃でした。


友達の中には既に大きな箱にソフトを何十個も入れてたりする子もいましたが、僕はいつもゼビウスばかりしていました。


そんなとき、突然田舎からおばあちゃんが来て、突然ソフトを1つ買ってあげるということになりました。おばあちゃんはそんなに遠くまで歩けないので、近所の小さいおもちゃ屋さんに行きました。当然置いているソフトは少しだけで、長いこと売れてないようなものもあったし、どれが面白いのかほとんどわかりませんでした。でもおばあちゃんの都合もあるし、その店に置いてあるソフトをその時に買うしかありませんでした。


僕はソフトを買ってもらえるチャンスなんてめったにないので慎重になりました。どれが面白いのかほとんど手がかりもないまま、パッケージなんかを頼りに吟味を続けます。おもちゃ屋のおばちゃんも、久しぶりに高額商品が売れるとあって息を飲みます。


そして僕が選んだソフトは、そうソンソンでした。


どんなゲームかはやってみないとわからないけど、ソフトを買ってもらえて僕はとても嬉しかったし、それを見ておばあちゃんも喜んでくれました。おもちゃ屋のおばちゃんも「よかったね〜」と言ってショウケースから出して包装してくれました。そして支払いを済ませ、おもちゃ屋のおばちゃんが僕にソンソンを手渡した瞬間でした。


「おもんないの買いおった。」


振り向くと、棚の陰に見知らぬ少年が一人、あざ笑うかのような表情で立っていました。そして逃げるように店を出て行きました。店には凍りついた3人が残されていました。


家に帰って実際にプレイしてみると、少年の言ったことが間違いではないことがすぐにわかりました。


そんな思い出のソンソンをカゴに戻し、僕はバトルシティーを買って帰りました。