ALL #01

2007年3月


ある朝、時計は見てないけど早朝3時くらいだっただろうか、背中全体に痛みを感じて目を覚ました。激痛とまではいかないもののかなり痛い。どういう痛みかを言葉で表すことは難しいけど今まで感じたことのないタイプの痛みだった。起きた瞬間に、病院に行かなければと思った。普段、ちょっとやそっとの痛みでは病院になんか行かないけど、このときは瞬時にそう思った。病院が開くまでにまだ時間があったので、頑張って少し眠りはしたが変わらず痛い。結局あまり眠ることなく、夜明けを待って近くの総合病院に自転車で向かった。歩いていくのはつらかったので。着替えるのもつらかったけど、なんとかズボンをはき替え、コートとマフラーを無造作に着て家を出た。


診察を待つ間、痛みに耐えながら会社に休みますと連絡を入れる。しばらくすると診察室に通され、症状を話すと、とりあえず採血と採尿をしようということになった。結果が出るまで診察室の前の椅子に座って待つ。まだしばらく時間がかかりそうなので、自動販売機に飲み物を買いに行った。自動販売機の前で財布を取り出そうとしたとき、急にどんどん視界が狭くなってきた。貧血だ。慌てて椅子に戻り、じっとしているとなんとか落ち着いた。何なんだろう…。


とにかく待ち時間が長く感じられたが、ようやく診察室に入った。そして医者が開口一番言った。


「しんどい思いますわ。」


医者は血液検査の結果を見せてくれた。白血球、赤血球、ヘモグロビン、血小板、すべての値が低値を示していた。またGOT、GPT、LDHの値が高かった。


既に部長と相談したらしく、入院しましょうということになった。検査結果から肝臓に炎症があるかもしれないということで、まずは肝臓の専門医に診てもらうことになった。診察室が上の階になるので移動しようとしたとき、またクラッときた。車椅子で移動することになった。ほんと何なんだろう。


肝臓の専門医による診察結果は意外なものだった。「そんなに大変なことにはなってないと思いますよ。あ、でももう入院の手続きしてるのか…外来でもいけそうやけど…まあいろいろ検査した方が安心かもね。」そう言われると、もしかしたら大した事ないのかもと思ってしまう。少し安心すると共に、必要ないのに入院するのはヤだなという気持ちにさえなった。更に気胸の既往があるということで肺の音を聞いたその医者は、「もしかしたら気胸じゃない?」とも言った。そう言われればそんな気も…。思いつかなかった。入ったときより明るい気分で診察室を出る。気胸かもしれないと言われて明るい気分になるのは変だけど、もっと悪いことが起こってるんじゃないかと思っていたから。


その後、段取り悪くCTや心電図やレントゲンをした後、入院病棟に通される。