ALL #48

ALL #47 - 日記


少し長めの休薬期間が終わり、地固め療法も4回目に突入した。


4回目と5回目は、それぞれ1回目・2回目と全く同じ内容だったので気が楽だった。一度体験しているのでどんな感じかは大体わかってるし、何より初めて使う薬や処置がないというのが嬉しい。しかも1回目と同じ今回の4回目は、治療自体が3日しかないのでなおさら嬉しい。


ただ問題は、僕の体に薬を投与するための通路がないことだ。


右鎖骨の下から入っていたカテーテルを抜いてから数日。次の治療からどうするかは棚上げにしていたが、僕は再三左鎖骨の下にカテーテルを入れるのを嫌がり、腕に一時的に点滴針を刺して治療することを主張していた。よく体調の悪いときなんかに近所の病院で1時間ほど栄養剤の入った点滴をうってもらう場合みたいな感じだ。でも僕が投与される薬剤はそういう生易しいものではない。


なんでも大静脈など血管壁の分厚いところならいいが、抗がん剤というのはやはりきついらしく、人にもよるが、腕の静脈なんかだとひどい炎症を起こしてしまう場合があるらしい。また、液漏れが起こる危険性が高く、皮膚についてしまうと大変らしい。しかし主治医は腕から点滴することを許可してくれた。


久々に腕に点滴針が刺される。注射に比べるとだいぶ痛い。テープで固定されるとすぐに薬の投与が始まった。そして午後からは髄液注射。髄液注射も慣れたもので、今回は実習に来ていた女子大生に一部始終を見学されてしまった。


その後3日間、吐き気や便秘などおなじみの副作用に耐えつつ、たくさん水分を取って過ごす。そして3日間の治療を終えた翌朝、腕の点滴を抜いてもらった。素晴らしい。しかも腕から点滴をすることにより懸念されたことも杞憂に終わり、僕の腕にはしばらくしたらきれいに治る点滴の跡が残されているだけだった。更にまだ骨髄抑制は来ないので、次の日には外泊の許可が出た。


そして次の週、骨髄抑制が来てしばらくは病院にいることになった。しかしカテーテルの刺さっていない体はとても自由で、特に、何の心配もなく寝がえりをうてるのが大きかった。また、経験を生かそうと地固め療法1回目のときの自分のメモを見ていると、骨髄抑制とともに発熱があったけどそれもなかった。


ちょうどこのときはお盆の時期にあたっていたが、僕の世代の認識とは違って、年配の人たちはとてもお盆というものを重視していたので、人口密度は少なく、いつもより落ち着いた感じで過ごせた。お盆前になると「お盆にはなんとか帰りたいんです。」と主治医に訴える声が聞こえたりしたし、治療のスケジュールをうまく合わせる人が多いようだった。ということもあって、いろいろな意味で比較的快適な入院生活を送ることができた。


ただ、骨髄抑制で血小板が減ったため輸血をすることになったとき、ちょっとしたハプニングがあった。